巧妙になってきたマタハラ


今朝の日本経済新聞に、
【「能力不足」理由に妊娠社員解雇 企業のマタハラ隠し巧妙に】
という記事が掲載されていました。

ストレートに妊娠したことなどを理由に退職を迫るのではなく、
仕事に対する能力が不足している、という別の理由を付けて、
退職勧奨(会社が社員にたいして、退職を勧めること)したり、
それを断ると「解雇」するなどのケースが増えてきているそうです。

妊娠や出産、子育てなどを理由とした、不利益な取り扱いは
男女雇用機会均等法や育児介護休業法などで禁じられています。

中小企業では、これらの制度のことをよく理解していない場合がありますし、
年配の経営者の場合は、昔からの慣行で悪意なく
「妊娠したら退職するのが普通だよ」とか
「子育てしながら働くならパートに変わった方がいいんじゃない?」などと
“アドバイス”してくる場合もあります。

それとは違い、制度やマタニティハラスメントのこともよく理解したうえで、
あえてそれに引っかからないように別の理由を付けて退職を迫るのはひどいですね。

ちなみに、「能力不足」であれば社員を簡単に解雇できるのかといえば、全然そんなことはありません。
・不足している能力をアップさせるために研修をする
・実務について先輩社員などが指導する
・他の社員の能力と比較してどの程度不足しているのか、それが雇用し続けるのに弊害となるほどなのか
・世間一般にみて、能力不足による解雇が妥当と言えるのか
などの要件を満たす必要があります。

ある日突然解雇を言い渡しても、それが認められるには相当高いハードルがある、ということです。

制度を正しく理解していないと、会社にも社員にも不利益をもたらします。

厚生労働省のホームページでは、マタハラについて女性社員向けと事業主向けのリーフレットを

掲載しています。

自分がこれから妊娠~子育てをする方、又は、そのような社員を雇っている事業主の方、参考になさってください。

(文・渡辺明子)