『育児休業が2年に延長』はいいことなのでしょうか?


今年1月1日から改正されたばかりの育児介護休業法ですが、10月1日から更に改正が予定されています。

10月の改正では、保育園などに入れない場合に育児休業を最長2歳になるまで延長することができるようになります。

参考パンフレット

復職の時期が間近に迫った方にとっては、子供が保育園に入れるかどうかは深刻な問題です。育児休業がこれまでより6ヶ月延長できることで多少心に余裕が生まれるかもしれませんし、子供の成長をその分近くで見守れるのは間違いなく良いことです。

でも、仕事面で考えると2年間も離れてしまうのは良いことなんだろうか? と疑問に思います。

ゴールデンウィークなど、少し長めの休暇の後って出勤しても仕事の感覚を取り戻すのに少し時間がかかったりしないでしょうか?

それが2年となると、復職したときに本人が相当苦労するのではないかと思うのです。また、本当に早く復職したいと思っている方にとっては、6ヶ月の延長で逆に気持ちに焦りが生まれる場合もあるでしょう。

 

会社によっては社員が産前産後休業、育児休業に入ったら、出産の報告を受けるのと育児休業給付金の手続きのやり取りをするくらいで、ほとんどコミュニケーションを取らない、という声を聞くことが多いです。会社としても日々の業務がある中で、育休中の人にどんな対応をすれば良いのか分からないというのです。

そんなことも育休中の社員に「私は本当に復職していいんだろうか? 以前のように仕事をしていかれるのかしら?」と不安に思わせてしまう一因になっています。

ですので、育休が2歳までに延長されるのを待つまでもなく、会社としてはできるだけ休業中の社員と連絡を取りあうようにしていきたいものです。

別に難しく考えることはなく、本人が担当していた仕事の状況や会社全体の変化、同僚の状況など、なんでもかまわないので、一定期間ごとにメールなどで情報を送るだけでもずいぶん本人の気持ちは違います。

また、仕事関連の書籍を送って勉強してもらうなど、本人の復職へのモチベーションが下がらないような気遣いが大切になります。

とは言っても、仕事から離れていることに変わりありません。できることなら1日数時間、週に1日でも在宅勤務の形で少しずつ仕事に復帰してもらうのが一番良いのではないかと思います。

 

この育児休業、まだまだ日本では女性が取得することが前提で考えられています。でも、法律では男性も取得できることになっていますし、男性の育児休業取得を推奨する会社も増えています。

できれば、妻が丸々2年間育休を取得すると考えるのではなく、夫と半々にするなど、そういう取得が普通になればもっと良いと思います。

育休を2年に延長すれば待機児童問題が解消されるわけではないので、国にはそちらの対策をもっと急いでほしいですね。

(文・渡辺明子)